ドラマや映画などの制作に必要な作業は、映像素材の編集だけではありません。音声素材の編集、組み込みも非常に重要なタスクです。
今回は、そのような音関係の作業、通称「MA(マルチオーディオ)」の概要や具体的な仕事内容、費用をご紹介します。
映像制作の依頼を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
マルチオーディオとは
一般的な映像作品は、はじめに映像の収録・編集作業が行われます。その後、背景音楽(BGM)や効果音が追加され、映像に演出が加えられます。同時に、必要なナレーションをスタジオで録音する作業が行われることも多いです。
映像に音楽や効果音を追加したり、不要な音を排除したりする作業を総称して「MA(マルチオーディオ)」と言います。ナレーションやセリフなどの録音も、この作業に関連します。
また、撮影時の状況によっては、音声にノイズが入ってしまうケースもあり、この除去も必要です。
どのような仕事ができるのか
MA作業の範囲は制作物によって大きく異なります。
ちょっとした効果音の追加から、楽曲レコーディングを行うケースまで、さまざまです。ここからは、具体的にMA作業ではどのような仕事がされているのかについて、その一部をご紹介します。
【1】背景音楽の選定・挿入
いわゆるBGMと呼ばれる音楽の選定や挿入もMA作業の1つです。それぞれのシーンに合わせて適切な曲を選び、組み込んでいきます。なお、ベースとなるMAエンジニアの作業は、あらかじめ決められたトラックリストから背景音楽を挿入することです。
この作業は基本的にはディレクターの指示によって選定していきますが、作品によってはエンジニアが選定するケースもあります。
【2】ノイズの除去
収録時に入ってしまう周囲の環境音や風の音、音声録音時に入ってしまう呼吸音やリップノイズなどの不要な音と判断されたものをピックアップし、調整するのがノイズ除去作業です。人や車の多い街中でも映像の出演者の声がクリアに聞こえるのは、ノイズが除去されているためです。
【3】音声の収録
いわゆる「アフレコ」と呼ばれる作業で、「アフターレコーディング」のことです。
バラエティー番組や会社の紹介PVなどのナレーション、アニメやゲームの音声収録では、映像とは別に音声収録が必要です。
また、実写の撮影を行う映画やドラマなどでも収録時のミスにより、アフレコを行うこともあります。
実際にかかる費用は?
マルチオーディオでは音声の収録・編集・制作作業が行われます。これらの作業を依頼した場合にはどんな費用がかかってくるのでしょうか?
効果音追加の場合の費用
映像に効果音を追加する場合、編集スタジオの使用料が発生します。また、使用する効果音によっては、JACRAC著作権料の支払いも必要です。
実際にかかってくる費用は作品の規模や、作業の工数によっても変わります。
ナレーションの場合の費用
音声収録の場合、収録するためのスタジオを押さえておくことは必須です。そのためスタジオ料金の発生は前提となります。収録エンジニアやナレーターの手配料も必要です。
ナレーターの手配料は、担当するナレーターの実績によって変わってきます。また、ナレーターの言語スキルも、手配料に影響してくる要素です。
編集作業の費用
MA作業には、最低1人のエンジニアが必要です。用意された音素材の編集を1人の技術者が担当する場合、1日当たりの費用はサラリーマンとフリーランサーで異なりますが、約5万~10万円以上が相場です。
また、作業完了の納期に余裕があるほど、必要となる費用は下がっていきます。
おわりに
今回は、マルチオーディオの概要や具体的な仕事内容、費用をご紹介しました。
マルチオーディオは雰囲気から世界観まで影響する、映像作品を完成させるための重要な作業の1つです。
背景音楽は、映像を左右させる重要なものです。多少の必要経費はかかりますが、映像に組み込む音声編集を検討されている方は、プロの制作会社にお願いすることをおすすめします。