広告・パンフレットの挿絵などでオリジナルのイラストが必要なとき、個人イラストレーターに制作を依頼する機会もあるのではないでしょうか。
正式な制作依頼の際に発行する書類として、「発注指示書」が挙げられます。しかし、発注の経験が浅ければ発注指示書の作成手順が分からず、戸惑うケースも少なくありません。
そこで今回は、イラストレーターへ送る発注指示書の作成ポイントについてご紹介します。
発注指示書なはぜ重要か
イラストを依頼する側とされる側が、直接対面して打ち合わせできれば双方のコミュニケーションもスムーズに行えます。
しかし実際は、イラストレーター側が多忙だったり拠点が遠方であることも多く、メールやWeb上のコミュニケーションツールでやり取りせざるを得ません。
そうなると、イラストに関するイメージが詳細に明記された、書面の存在が重要になります。加えて、制作されたイラストを著作物として使用する場合の、法的な取り扱いについても発注指示書に明記されます。
このように、指示発注指示書は「イラスト制作者が円滑に制作を進められるようにする」「イラストが著作物として商業的に取り扱われる際の法的な指標」として必要なのです。
発注指示書の作り方
発注指示書には、以下の項目を設けるようにしましょう。
- 発注するイラストの点数(「風景イラスト1点・人物イラスト2点」など)
- イラストデータの納品形式やカラーモード、画像サイズ(解像度)
- イラストを使用する製品やサービスの名称もしくは使用媒体および用途
- 製品・サービスのターゲットユーザー
- 制作のイメージ(構図やテイスト、使用する色味の傾向など)
- その他、制作に関する詳細な要望
- イラストの使用に伴い、解決したい現状の問題点
- 制作に関する提供資料とその詳細
- 著作権に関する情報(所在について)
- 希望するスケジュール
その他、制作したいイラストに必要な項目があれば追加で設けます。
万が一、発注指示書だけでは制作イメージを伝えきれない場合、別途仕様書や制作に関する詳細な依頼書を制作すると良いでしょう。
イラスト制作を依頼する際のポイントは?
【1】著作権の所在は正式発注前に必ず取り決め、相互確認をする
イラスト制作において、事後に著作権の帰属に関するトラブルが発生することも少なくありません。正式発注の前のタイミングで著作権の帰属先を明らかにし、お互いにしっかり確認することが大切です。
【2】著作権を買い取る場合は、受託者側の使用可能範囲を明確にする
挿絵やソーシャルゲームなどのイラストについては、委託者(クライアント)側で著作権を買い取るケースも多くあります。その場合には、受託者(イラストレーター)側が制作したイラストをどこまで使用できるかを明確にさせておきましょう。
例えば「著作権は委託者側に帰属するが、制作者本人のSNSアカウントや個人Webサイトなどでの公開は可能」としておけば、イラストレーター本人とイラスト使用先を同時に広くPRすることにもつなげられます。
【3】納品までのスケジュールは余裕を持って設定する
納品スケジュールがあまりにタイトだと、よほど経験豊富な制作者でなければ制作物の品質に影響が及ぶ可能性があります。また、ラフ画の確認後に修正の依頼をしなければならない事態も想定しましょう。
依頼先のイラストレーター本人としっかり打ち合わせの上、スケジュールの設定には可能な限り余裕を持たせるようにしてください。
おわりに
今回は、イラストの制作をイラストレーターに依頼する際の「発注指示書」に関する基礎知識や、制作依頼時のポイントをご紹介しました。
イラストレーターとお互いの信頼関係を築けるようなやり取りが、初回の発注から行うことができれば取引先として、末永いお付き合いになっていく可能性もあります。
連絡は常に丁寧・迅速に行い、今後もお互いに安心して受発注ができるパートナーを目指しましょう。
イラストの発注は依頼用途に応じて変わることも。業界の相場についてまとめました。