こんにちは!
幅広い制作領域を武器に「新たな驚きと感動を作る」制作会社ジーアングル ブログ編集部です。
人気アニメの新作ゲーム、有名IPキャラクターを使用した商品パッケージや企業のPRなど、幅広く活用されているIP・版権イラスト。
初めてIPキャラクターを広告などに依頼する場合、ライセンス契約をはじめ、「どこに依頼したら原作に忠実なイラストを制作してくれる?」といった悩みを感じたことはありませんか?
すでにIP・版権イラスト制作を依頼したことがあっても、思ったようなクオリティにならず、新たな外注先探しに苦心される担当者様もいらっしゃることと思います。
そこで今回は、IP・版権イラストの依頼方法に加え、依頼先を選ぶポイントについて解説します。
ジーアングルのIP・版権イラスト制作チームによるコメントとともに実際の制作工程もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
版権イラストを依頼する方法
まず大前提として、他者に著作権があるキャラクターのイラストを許諾なく使用すると、著作権の侵害に該当します。
著作権と同様に「版権」という用語もよく用いられますが、著作権と版権に意味の違いはありません。
明治時代に制定した法律で用いられていた「版権」という言葉が、1999年の法改正により「著作権」に変化したため、現在の業界内では2つの用語が同じ意味合いで通用しています。
ここでは、アニメやゲームなど既存の著作物に登場するキャラクターの絵柄、いわゆる「IP・版権イラスト」を、外注で制作依頼するときの一般的な手順をご紹介します。
①著作者に使用の許可を取る
既存のキャラクターイラストを商品や広告・印刷物へ使用する際は、営利目的の有無を問わず著作者の許諾が必要です。
その上で、仕上がった制作物に対しても著作権に関する表示を必ず行わなければなりません。
著作者は描き手個人だけではなく、作品の版権を所有する企業や団体の場合もあります。
ただし、学校などの教育機関や官公庁のイベント・配布物で一時的に使用するときに限り、公開の範囲が限定的なものとみなされ、著作者の許諾無しでの使用が認められています。
②イラストレーター・制作会社へ依頼をする
著作権関連の手続きが済んだら、イラストレーターや制作会社へ制作を依頼します。
依頼先を決める際は、「版権イラスト承ります」などのうたい文句だけではなく、版権イラストに関する過去の制作物や実績も参考にしましょう。
版権イラストの場合、公開するにあたり著作者の監修が入るケースがほとんどのため、厳しい監修をクリアする品質であることが求められます。
③著作者の監修を経て完成
イラストの第1稿が仕上がったら、著作者に監修を行ってもらいます。
監修では絵の品質のみならず、キャラクターの既存イメージを損なわないかなど、詳細なチェックが入ります。
監修の結果、修正が入る場合もあるため、完成までの期間は余裕を持ってスケジュールを組みましょう。
版権イラスト依頼時の注意点
続いて、版権イラストの依頼に関する注意点についてご紹介します。
①商標登録がされているか
著作権よりも権利の効力が強い「商標権」を得るために、商標登録が行われているケースも増えています。
例えば、キャラクターの名称のみが商標登録されている場合は、名称の使用に関する手続きが追加されるといった流れです。
キャラクターのポーズが図柄として商標登録されているケースでは、使用する版権イラストもそれに準じた図柄での制作が必要です。
※さまざまな動きやポーズが用いられるアニメゲームのキャラクターにおいて、特定の図柄を商標登録していることは極めて少ないです。
②キャラクターを継続的に使用する場合のライセンス契約は?
商品に版権イラストを用いて継続的に販売をするときは、著作者と期間や使用範囲を設けたライセンス契約を行います。
その際は、使用期間に応じてライセンス契約料を著作者へ支払い、契約満了後に更新があればその都度新たに契約料を納める形です。
許可範囲や期間をごくごく限定する場合は「著作権使用料」を支払い、使用することも想定されますが、特定の利用に対して一時的に支払われるケースが多いです。
その点ライセンス契約料は、より長期的・包括的な利用権を得るための契約及び使用料であり、ブランドやキャラクターの商業利用の幅が広がる契約となります。
IP・版権イラストの使用期間・使用範囲など、活用の幅をあらかじめ決めたうえで適した契約を行い、イラスト制作依頼に進みましょう。
【制作工程】IP・版権イラストはどうやって作られるのか?
ここでは制作工程4つを、ジーアングルのIP・版権イラスト制作チームのコメントを交えてご紹介します!
①構図ラフ
クライアントの要望やキャラクターの設定をもとに構図やポーズを検討し、ラフを作成します。
イラスト全体のイメージやキャラクターの動きを決める工程です。
ここでしっかりと方向性を定めることで、後の工程がスムーズになり、作品の完成度が向上します。
どんなイラストにしたいか、方向性を決める工程です。
極端な例ですが、クライアントはポップなテイストをイメージしていたのに制作側がクールなテイストで制作してしまったら、後々の軌道修正が厳しくなってしまいます。
しっかりとすり合わせることが大事ですね。
この工程では、「何をしているのか」が一目でわかるシルエットにすることを心がけています。
手前と奥のシルエットなど、平面だけでなく空間として配置を考えることで、構成のわかりやすいイラストになるよう意識しています。
②ラフ
ラフ段階では構図の調整が行われ、細部の描写・調整に進みます。この段階でクライアント、クライアントから版元への確認が入ることが多いでしょう。
全体のバランスやキャラクターの特徴が適切に表現されているかを細かく確認します。
モノクロラフで行うことが多いですが、カラーラフで完成形のイメージをすべて決め、以降の線画や着彩工程を進める場合もあります。
ただ、ラフという見本を作るために時間がかかることに加え、必ずしも着彩の時間が短縮できるわけではありません。
担当クリエイターの影つけのセンスなど着彩工程のチェックを早めに入れられ、クオリティの安定には繋がりますが、それ以上に手間がかかり費用が上がってしまう点はご注意ください。
細部を詰めていく工程ですね。
IPは顔が似てないと二次創作になってしまうので、顔が原作に忠実かどうかは重要です。
そういう意味で、顔のパーツをブラッシュアップする工程ともとらえられると思います。
顔以外でいうと、衣装が複雑な場合は書き忘れが生じることもあるので、衣装パーツに不足がないかチェックをしていきます。
腕や足の太さ、服のしわの流れなど立体感がちゃんととれているか、といったデッサン的な確認もここでしっかりと行います。
加えて、納品を見据えてサイズや解像度を確定させることも大切ですね。
③線画
続いて線画の工程に移ります。
ここではキャラクターの輪郭や詳細部分が精密に描かれ、作品の全体像が見えてきます。
線画は、最終的な完成イメージを左右する重要なステップであり、クオリティが求められるため、経験豊かなイラストレーターが担当することが一般的です。
線の強弱やタッチに個性が現れるため、この段階で作品の雰囲気が大きく決まります。
しわやまつ毛の本数など、ラフで決めたものをさらに清書していく工程ですね。
クライアントに線画まで提供いただく場合、それをもとに清書していくこともあります。
ラフから線画にする際「ラフの方がよかったな?」というイラスト制作あるあるが起こらないよう、最適な線を描画するスキルが求められます。
また、描き忘れがないか、線のよれ、はみだし、線が繋がってない/飛び出してる箇所がないか入念にチェックします。
ごみ取りもここで行うなど、線画までを完璧に整えたうえで着彩に進みます。
④着彩
最後に「着彩」の工程です。着彩はキャラクターは元より作品そのものの個性を際立たせ、イラスト全体の雰囲気を完成させます。
色の選定や陰影の付け方がリアリティや立体感を生み出し、キャラクターが生き生きとした表情に見えるよう工夫されます。
色味の選び方や光の表現は、視覚的なインパクトを与えるため、繊細な技術が求められる工程です。
同じ版元でも作品によって塗り方が異なり、いつも色彩表現の幅広さに気づかされますね…!
変わったブラシを使っていたり、境界線にぼかしが入っていたり、仕上げに必ず特定のエフェクトをかけるよう指示のある作品もあって、細心の注意が必要です。
資料・レギュレーションに合わせ、原作の色彩表現を厳密に再現する工程です。
スポイトでとっても設定資料のカラーと合わないことがあるので、資料と見比べながらレギュレーション通りか一つ一つ確認します。
まつ毛の色、瞳の中の色、瞳周りの影の有無など、顔周りの着彩は特に作品の個性が出る部分なので、とにかく忠実に、を徹底します。
資料が立ち絵のみ、という状態で一枚絵を作る場合もありますが、例えばレア度の高いカードスチルが立ち絵イラストと同じ塗り方だと、なんだか見ごたえに欠けますよね。
設定に忠実でありながらも、一枚絵にふさわしい塗り方へ仕上げることも大切にしています。
IP・版権イラストの品質はどうやって担保されるのか?
制作工程をご紹介しましたが、この工程の中でどのように品質確保・品質向上に向けた動きが行われているのでしょうか。
クオリティ担保に焦点をあて、ジーアングルで重視しているポイントを解説します。
クライアントチェック前に社内での二重チェック徹底
クライアントに提出する前に社内での二重チェックが徹底されています。
まず、制作担当者が自己確認を行い、その後、リーダーや別のチームメンバーが改めて確認します。
この二重チェック体制により、ミスや見落としを減らし、クオリティの高い作品を提供することが可能となります。
版権イラストは原作に忠実であることが重要ですので、クリエイターさんを信頼しつつも、案件全体のクオリティラインを守るために社内でのダブルチェックは欠かせません。
顔は似ているか?原作通りの等身か?手足の長さ太さなど、あらゆる要素がすべてレギュレーション通りかどうかを必ずチェックしています。
修正点が多い場合は赤入れをしてクリエイターさんに戻し、上がってきたものをまた見て…という流れを繰り返すことで、監修を突破できる確かな品質に仕上げます。
ディレクターとしては、二重チェック込みのスケジュール・段取りを組むことで、チェックをおろそかにしない土台を作っています。
IP・版権イラスト制作経験のあるクリエイターに依頼する
IP・版権イラストは、オリジナルイラスト制作とはまた違う技術が必要になります。
制作経験のないリエイターにいきなりお任せするのは、品質担保のディレクション・クリエイター作業どちらにとっても負担が大きくなってしまいます。
よって、キャラクターの特徴や原作の世界観を正確に描画する力が求められるIP・版権イラストは、やはり制作経験のあるクリエイターの存在が不可欠なのです。
IP・版権イラスト制作経験のあるイラストクリエイターさんは、実はとても限られています。
ジーアングルではIP・版権イラストチーム発足以来、IP・版権イラストをお願いできるクリエイターさんを少しずつ増やし、体制を強化してきました。
現在は案件のテイストと得意分野の重なる外部クリエイターさん・社内デザイナーが担当することで、さらに高いクオリティラインでの制作に努めています。
作品が好きなクリエイターに手配する
作品愛のあるクリエイターが手がけることで、クオリティが一層向上します。
作品を知らないクリエイターが制作する場合に比べ、既存ファンであるクリエイターが制作を担当するとキャラクターへの理解度が高く、細部にまでこだわりが反映されます。
愛着のある作品だからこそそのキャラクターらしい表情、細かなレギュレーションを自然と守った着彩になるなど、クライアントやファンに喜ばれる仕上がりが期待できます。
その作品を好きなクリエイターさんに依頼したイラストと、作品を知らないクリエイターさんが描いたイラストは、やっぱり全然違うんですよね。感情が乗った絵は特に違いを感じます。
クリエイターさんのモチベーションもそうですし、品質面でも、作品が好きなクリエイターをアサインすることは重要なポイントだと考えています。
資料をできるだけ多く集める
原作に忠実であることを求められるIP・版権イラストは、できるだけ多くの資料が必要です。
設定資料を基盤とし、過去設定や他キャラクターとの関係性などキャラクターを構築する情報を集めることで理解が深まり、クオリティ維持に繋がります。
アニメが放映されている作品ならキャプチャをしたり、制作するキャラクターの動きを見てポーズの参考にしたり。
絵だけではなく、動いて喋っているところを見るとイメージがわきやすいですね。
昨今キャラクターソングが出ている作品も多いので、原作の履修とあわせてキャラクターソングを視聴するようにしています。
キャラクターの声を聴くことが、自分の中のキャラクターイメージを固める助けになっていると思います。
ほかにも、いい既存絵にクオリティラインを合わせることも大事ですね。
IP・版権イラストを依頼する際に重視したいポイント
急遽IP・版権イベントの開催が決定しイラストが必要になってしまった!とお困りのライセンシーやイベント・展示会会社のご担当者も多いことと思います。
ここでは継続的なIP・版権イラスト制作の依頼先をお探しの方や、高品質かつ短納期に対応できる外注先探しに奔走されている方などが、IP・版権イラストを依頼する際に重視したいポイントを解説します。
大量制作でも品質が均一になっているか
IP・版権イラストを依頼する際、ゲームリリース前の初期イラスト制作や、コラボイラストで複数キャラクターの制作が必要など、大量制作が求められるシチュエーションは多いです。
そんな大量制作案件では、品質が均一に保たれているかどうかが重要なポイントであり、一貫した高いクオリティで仕上げるには制作チームの連携や管理が鍵を握ります。
作品イメージを崩さない均一な高品質さが維持されているか、実績や制作体制で確認しましょう。
通常、クオリティ担保のデザイナーが1人担当になるのですが、大量制作になるとサブのデザイナーをつけています。
制作数が増えるとクオリティがばらつきやすいのは事実ですが、上がってきたデータで起きた問題を案件に関わる全員で共有し、すべての品質が均一になるよう努めています。
制作数とともに、携わる外部クリエイターさんが増えるとクオリティにばらつきが出やすくなるポイントです。
なるべく一気に請け負ってくれるクリエイターさんにお願いするなど、関わる外部クリエイターさんの人数を絞る・コントロールするのも大事ですね。
共通衣装や靴の描き方は特に個性が出やすいこともあり、チェックする社内デザイナーが疲労しない人数にすることも重要です。
「映える」構図への対応力
IP・版権イラスト制作において、戦闘やライブのワンシーンを1枚絵に落とし込むことが求められることも少なくありません。
見ごたえはイラスト全体の構図や、キャラクター・空間のパーツ配置にも左右されるため、視覚的にインパクトがあり、ファンの目を引く構図のアイデア提供力があるかどうかも大切なポイントといえます。
「映える」構図で大事なことは3つあると考えています。
ひとつ目は「空間を一緒に描く」こと。
キャラクターのいる空間に何があるのか、どうなっているかを球体/曲線的なパースをとって空間全体で考えます。
ふたつ目は「シルエットの奥手前をしっかりつける」こと。
着彩に進む前から左右の凹凸のシルエット、明暗で表現できているか……制作工程でもお話しした「シルエットだけでどんな絵かわかる」を意識します。
みっつ目は「主題と副題がしっかりしているか」。
「主題:顔」「副題:技」など、その絵で見せたいものをしっかり見せられているかを判断する基準を作ることで、見ごたえのあるイラストを作ることができます。
「このキャラならこういう顔」をイメージできる作品愛
キャラクターの表情やしぐさを忠実に再現するには、制作チームが作品へ愛を持っていることが重要です。
キャラクターの個性を理解し、「このキャラならこういう表情」というイメージが明確であるほど、ファンにとっても納得のいく作品が仕上がります。
品質担保の話と重なりますが、その作品を好きな人の方が「キャラクターらしい顔」「キャラクターらしくない顔」の解像度が高いですね。
キャラごとの手足の形・動きにも表情が出ますし、IP・版権だからこそ作品愛は活きると感じています。
IP・版権イラストが原作に忠実であることを求められる理由の一つに、人気を支えてきたファンの存在があると思います。
時に二次創作も見たりして、ファンに求められているのはどんな要素なのか?ファンはキャラクターのどんな顔を見たいのか?を知り、制作に活かしています。
ジーアングルのIP・版権イラスト制作実績
ジーアングルのIP・版権イラスト制作実績をご紹介します。
アイドリッシュセブン(株式会社バンダイナムコオンライン様)
ゲーム内のキャラクターイラスト制作をご依頼頂きました。
ジーアングルのIP・版権イラストについて伺いました!
Q. 制作依頼に至った理由、決め手はなんですか?
IPコンテンツへの理解力があり、モチベーション高くご制作いただける点です。
Q. ジーアングルに依頼してよかった、楽だと感じたなどのエピソードがありましたら教えてください!
イラスト制作では、コンテンツへの理解度が高く、ファンの方々へ寄り添うご提案やご制作をしていただけることが非常に嬉しく助かりました!
また、フィードバック対応も丁寧にご対応くださりありがたいです。
映像制作でも、コンテンツへの理解度が高いからこその、多様なご提案をいただいており、物づくりとしての在り方をこちらも学ばせていただいております。
SD制作においては、パーツ分けはこちらでアニメーションを組みやすく切り分けてくださり、そのうえで衣装の装飾を細部までこだわってご制作いただくなど、ご丁寧に作業いただけている部分がとても助かっております!
\ ほか実績はこちらから /
IP・版権イラスト制作はジーアングルへ!
10年にわたり年間100タイトル以上のIP・版権イラスト制作実績を持つジーアングルでは、専門チームが作品愛を持って制作に臨んでいます。
外部クリエイターを含めたIP・版権イラスト専門チームのスケジュールを常に可視化し、短納期・大量制作のご依頼にも的確にお応えが可能です。
ここではお見せできない非公開実績も多くありますので、ぜひジーアングルへご相談ください。
まとめ
今回は既存のキャラクターを使用した「IP・版権イラスト」の依頼方法、依頼先を選ぶポイントや注意点についてご紹介しました。
まれなケースですが、地域振興を目的とするビジネス色が薄いキャラクターの使用においては、許諾の手続きさえ行えば著作権使用料の納入を不要としている著作者もいます。
ただしいかなる場合においても、キャラクターや著作者への敬意を込めて制作・使用することを、マナーとして必ず心がけましょう。
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