2020年以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、外出自粛が促され私たちの生活様式は一変しました。
企業ではリモートワークの導入が進み、オンラインコミュニケーションのサービスも増えています。
このような状況の中で注目度が高まったものが、「メタバース」です。近年ではゲームだけでなく、ビジネスシーンでの活用も増えてきています。
そこでこの記事では、メタバースが注目されている理由を紹介し、メタバースを企業が活用する方法やメリット・デメリットを解説します。
メタバースとは
メタバースとは、インターネット上に構築された3次元の仮想空間を指します。この仮想空間に「アバター」と呼ばれる自分の分身を介して入ることができます。
メタバースは、現実世界に限りなく近い状態で活動することが可能です。
現実世界と同じく常に時間が流れ続けている世界で、自分のアバターを介して集まってミーティングやイベントをすることもでき、Web上にあるもう1つの空間で社会生活を送ることができます。
メタバースの概要等について、こちらの記事でも詳しく解説しています。
メタバースが注目されている理由
2021年後半から話題になってきたメタバース。なぜここまで注目されるようになったのでしょうか。ここではメタバースが注目されている理由をご紹介します。
注目の理由には複数の要素が関連しています。
- メタバース市場の拡大
- オンラインコミュニケーションの進化
- NFTのような関連技術の実用化
- 新型コロナウイルス感染防止対策として活用
メタバース市場の拡大
総務省「令和4年版 情報通信白書」によると世界のメタバース市場規模(売上高)は、2021年に4兆2,640億円となり、2030年には78超8,705億円まで拡大する見込みされています。
VR機器の出荷代数も2019年では4863万台だったのに対し、2020年には6200万台以上に増加しています。
オンラインコミュニケーションの進化
PCやスマホを媒体とした情報通信技術の発展によるオンラインコミュニケーションの進化もメタバース拡大の1つの要因となります。
現在は、チャットのようなテキストのやり取りはもちろん、音声や動画を通じてやり取りを行うボイスチャットやビデオコミュニケーションが広く普及しています。
より快適なオンラインコミュニケーションツールとしてメタバースが注目されています。
NFTのような関連技術の実用化
NFTのような関連技術の実用化もメタバースに注目が集まる要因となっています。
NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)とは、「偽造ができない鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータ」のことを指します。
暗号資産(仮想通貨)と同じく、ブロックチェーン(※)上で発行および取引がされます。
これにより、従来は簡単に複製できたデジタルデータへ価値を与えられるようになり、メタバース内でも価値のあるデジタルデータを作成・仮想通貨で売買することが可能です。
※ブロックチェーン…情報通信ネットワーク上にある端末同士を直接接続して、取引記録を暗号技術で分散的に処理・記録するデータベースの一種。ビットコイン等の仮想通貨に用いられる基盤技術。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響
2020年以降、世界的に感染拡大がみられる新型コロナウイルス感染症の影響もメタバースが注目される要因の1つです。
コロナ禍で行動が制限されたことにより、あらゆる体験やサービスがリアルからオンラインに切り替わり、「バーチャルオフィス」や「バーチャル空間観光」といった仮想空間の活用の幅がぐっと広くなりました。
現実に近い臨場感のあるコミュニケーションを行えることからビジネスでも活用されています。
メタバースのビジネス活用方法や事例
さまざまな要素によって注目度が高まったメタバース。ここからは、ビジネスにおけるメタバースの活用方法や事例をご紹介します。
バーチャルオフィスとアバターの活用
新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに、急速に広まったリモートワーク。
場所にとらわれず仕事ができるというメリットがある反面、社内のコミュニケーションが減ってしまうのがデメリットでした。
メタバースによるバーチャルオフィスとアバターを活用することで、リモートワークによって減少していた社内コミュニケーションの活性化を狙うことが可能です。
また、社内コミュニケーションだけでなく、VR空間での対談取材や通常のオフィスとして活用されています。
バーチャルオフィスの代表的な種類
- VRやMRなどを用いる3Dメタバース
- アイコン等を用いた2Dメタバース
- 音声コミュニケーションに特化したタイプ
イベントや展示会の開催・参加
これまではイベント会場などで実施していたイベントや展示会を、メタバースで実施することで場所にとらわれない開催・参加ができるようになります。
社外イベントだけでなく、社内イベントなども仮想空間で行うことも可能です。
近年メタバースを活用したイベントは、一般消費者向けを中心に数多く開催されています。
イベント内で企業担当者向けのトークセッションが開催されたケースもあり、エンターテインメント要素の強いイベントだけでなく企業間取引関連のイベントにも波及してきている状態です。
【イベント事例】バーチャルマーケット6(2021)
【イベント事例】東京ゲームショウ(2022)
【イベント事例】社内合宿(GMOペパボ)
プレゼンテーション・研修での活用
仮想空間では、3Dモデルを活用して説明することができます。
実際に動く3Dモデルを活用した研修やプレゼンなどで、商品イメージをわかりやすく伝えることが可能です。
ZoomやTeamsといったweb会議システムを使ったプレゼンとは異なる臨場感も生まれ、より現実に近いコミュニケーションがとれるなど、メタバースならではの利点もあります。
実際に、メタバースを取り入れたプレゼンは大学の授業にも取り入れられています。
広告出稿などマーケティングに活用
メタバースのような仮想空間でも、広告の出稿が可能です。
2021年初のVR開催となった東京ゲームショウでは、NTTと電通がVR広告に挑戦したことも話題となりました。
仮想空間内の販促対策としてVtuberを併用し、新たな購買体験を作り出せる可能性もあります。
また、商談や接客の場所としてマーケティングなどにも活用されています。
【マーケティング活用事例】メタバースEC(ジャパンヘナ)
ユーザー体験の提供に活用
メタバースに観光地を出現させることで、世界各地のユーザーがアクセスできるようになります。
つまりどの観光地も同じ条件で存在することができ、「交通手段の有無」「アクセスの悪さ」といった集客が難しいというハンデがなくなるのです。
また、仮想空間内で特産品を販売したり、アクティビティの体験ゲームを公開したりして消費行動も行えます。
このように、実際に現地に行かなくても仮想空間による没入感を活用して、新しいユーザー体験を届けることができます。
【旅行・観光業のメタバース事例】バーチャル大阪
【旅行・観光業のメタバース事例】バーチャル沖縄
企業がメタバースを導入するメリット
ここでは、企業がメタバースを導入するメリットを紹介します。
社内外コミュニケーションの向上
web会議システムを介したコミュニケーションよりも臨場感があり、リアルに近い感覚で行うことができ、対面と同程度までに引き上げて業務の効率化を期待することができます。
アバターを使うことで表情が伝わりやすいなどのメリットがあります。
企業のイメージアップにつながる
Facebook社が社名を「Meta」に変更し、メタバース事業に参入することを発表し話題になりました。
このように、メタバースは最先端の取り組みとして話題になりやすく、「成長企業」のイメージが持たれやすいでしょう。
新たな収益獲得・ビジネスチャンスが増える
場所にとらわれないビジネス活動ができるので、集客やチャンスを得やすく、その分ビジネスチャンスが増えることが期待できます。
アーティストが自身の作品をNFTで販売したり、アパレルブランドがアバター用の付属品を販売するほか、メタバース上でのサービス提供は現実と同じようなビジネス展開が可能です。
メタバースを導入する際の注意点
一方で、メタバースの導入にはデメリットや導入ハードルも存在します。
機材費など諸費用がかかる
メタバースが身近になったとはいえ、機材はまだ高額であることが多く、仮想空間での活動環境をと整える必要があります。
対応しきれない社員もいる
必ずしも、社員全員がすぐにメタバースを導入できるわけではありません。説明など導入について別途時間を設ける必要もあります。
また、3D空間のメタバースを快適に利用するためには、ゲーミングPC並のスペックが必要ともいわれています。
パソコンに高機能なスペックが求められる点も、メタバース参加へのハードルが高い要因です。
3Dモデルなどは別途制作する必要がある
アバターなどはプラットフォームで用意されているものが多いですが、展示会などに使用する3DCGモデルは別途用意が必要です。
特に、メタバース事業についてはまだまだ企業の参入が始まったばかりであるため、ビシネスにおける導入については慎重に行う必要があります。
メタバース導入をお考えの場合は、まず導入支援を行っているサービスなどに相談することをおすすめします。
メタバースの3Dモデルの制作はジーアングルへ
メタバースの市場規模は今後さらに拡大していくことが予想され、さまざまな企業が新たなビジネスチャンスを期待して参入しています。
「メタバースの導入を検討している」、「導入は決定したが、3Dモデルの制作をどうすればいいか悩んでいる」という方は、メタバースの3Dモデルの制作実績のある制作会社に相談しましょう。
メタバースの導入時に「少しでも費用を抑えたい…」という願いに寄り添い、ジーアングルでは、医療系3DCGや工業製品3Dモデルなどを低価格・短納期でご提供しています。
デザイン案からのご提案や、制作したモデルを3Dプリンター用データに変換することも可能です。
写真と見間違う高クオリティで制作しますので、メタバースの3Dモデル制作はぜひジーアングルにご相談ください。
まとめ
ゲーム中心に利用されていたメタバースですが、新型コロナウイルス感染症の影響により、生活様式が変わったことで急激に注目されました。
情報通信技術の発展に伴い、メタバースは今後も市場規模が拡大することが予想されています。
ゲームやアート、音楽といったエンターテインメント分野での活用が目立ちますが、バーチャルオフィスやバーチャル観光、ECといったビジネスシーンでの活用も多く、実用化が進んでいます。
仮想通貨による投資やメタバース事業を新しいビジネスチャンスと位置付ける企業も少なくありません。メタバースの導入を検討して方はぜひジーアングルにご相談ください。