ゲームなどのエンターテインメント分野で広く使われている「メタバース」。近年、よく耳にする言葉ではないでしょうか。
最近では、ビジネスでも活用する企業も増え、注目を集めています。
しかし、メタバースとはどのような意味なのか、言葉はきいたことはあるがよく知らないという方も多いかもしれません。
そこでこの記事では、メタバースの意味や出来ること、メタバースの将来性について見ていきましょう。
メタバース(metaverse)とは
メタバースとは、超を意味する「メタ(meta)」と宇宙を意味する「ユニバース(Universe)」を組み合わせた造語で、インターネット上に構築された3次元の仮想空間のことを指します。
メタバースではアバターを操作して、現実世界に近い状態でコミュニケーションを取ったり、ビジネスを行うことができます。
メタバースは新しいものとされがちですが、メタバースという言葉自体は、1992年にSF作家であったニール・スティーブンスン氏が書いた「Snow Crash」で登場したことが初出といわれています。
また、メタバースの先駆けともいえる3次元「Second Life」は2003年にリリースされていて、日本でも2006年にブームとなりました。
仮想空間でのコミュニケーションや売買の取引は、最近誕生したものではなく、すでに2000年代から行われていたことがわかります。
メタバースとXR(VR・AR・MR)の違い
3次元仮想空間を指すメタバースは、XRやVRなどの言葉と混合されがちです。ここでは、メタバースとXR(VR・AR・MR)の違いについて解説します。
XRとは
XRとは、現実ではないものを体感できる技術の総称を指します。これからご紹介するVR・AR・MRも、総称してXRといいます。
VRとは
VRとは、CGや3D技術で作った仮想空間を、現実と同じように体験できる技術のことです。
VRでは、ヘッドマウントディスプレイと呼ばれるゴーグル型のディスプレイを装着して、仮想空間を楽しみます。
メタバースは仮想空間のことを指しますが、VRでは仮想空間を実際に体験できるデバイスを指します。
ARとは
ARとは拡張現実のことで、現実世界に3Dモデルや仮想空間などを重ねて、体験できる技術を指します。
人気のアプリ『ポケモンGO』は、AR技術を使ったゲームです。
MRとは
MRとは複合現実のことで、現実世界とバーチャル情報を融合して拡張する技術のことを指します。
MRは、シミュレーションの精度向上を実現しているため、製造業や建築業などで急速に普及しています。
メタバースとは場所で、XRは仮想空間を体験するための手段
メタバースは、インターネットを通じてユーザーと交流ができる場所を指します。
一方で、XRは3次元の空間を体験することを目的としているため、専用の機器が必要です。
メタバースはそうした機器がなくても十分に楽しむことができます。
また、XRはインターネットを必要としないケースもあり、他のユーザーとコミュニケーションを必要としない点はメタバースと異なります。
メタバースで出来ること
メタバースは、いろんなことができます。ここでは、メタバースで出来ることをご紹介します。
1.他のユーザーと交流する
メタバースでは、仮想空間内でテキストチャットやボイスメッセージなどを使って他のユーザーと交流することができます。
アバターを使うことでリアルに近い形で、コミュニケーションを取ることが可能です。
2.イベントを開催する
メタバースでは、仮想空間の中でイベントを開催することもできます。Vtuberやアーティストなどのライブイベントなどはもちろん、ビジネスにおいても展示会会場としてメタバースが用いられることがあります。
企業やアーティストだけではなく、個人的にイベントを開催することも可能です。
3.イベントに参加する
イベントが開催できるだけではなく、イベントへの参加もできます。
企業が主催のイベントや個人が主催しているイベントや、Vtuberなどのライブイベントに参加し、さらに他のユーザーと交流することが可能です。
4.NFTの販売や展示
メタバースでは、NFTを使うことができます。
NFTとは「Non-Funrible Token」の略で、代替ができないトークンという意味があります。
デジタルアートやゲーム内のアイテムといったデジタル資産に所有者情報を記載して、ブロックチェーン(※)で具現化された信ぴょう性を証明できるデジタル資産のことを指します。
メタバースでは、NFTを使ってアイテムを販売したり展示したりすることが可能です。
※ブロックチェーン…情報通信ネットワーク上にある端末同士を直接接続して、取引記録を暗号技術で分散的に処理・記録するデータベースの一種。ビットコイン等の仮想通貨に用いられる基盤技術。
5.オンラインゲーム
メタバースは、オンラインゲームでも数多く使われています。
例えば、世界中で人気の「Minecraft」や「フォートナイト」もメタバースを利用したゲームです。
Minecraftは、自分だけのオリジナル空間を建築できるゲームです。
フォートナイトはシューティングゲームで、このゲームの流行によりメタバースの認知度が向上したといわれています。
6.セカンドライフを送る
メタバースでは、自分の好きな空間を作ることも可能です。自分好みのアバターが作れるのはもちろん、好みの部屋や世界を作り出すこともできます。
売買や交流などいろいろなことができるため、仮想空間の中で、セカンドライフを送ることもできるのです。
メタバースの市場や将来性は?
メタバースは、近年活用できる場所が増えてきています。しかし、今後も発展していくのか心配になることもあるでしょう。
ここでは、メタバースの市場や将来性について解説します。
メタバース市場規模予想
総務省の調べによると、メタバースの世界市場は2021年に4兆2,640億円だったものが2030年には78兆8,705億円まで拡大すると予想されています。
今後もゲームやメディア、エンターテインメントはもちろん、教育やショッピングといったさまざまな領域で、メタバースの活用が期待されています。
出典:総務省|令和4年版 情報通信白書|仮想空間市場など
ビジネスにおいても活用が進んでいる
メタバースはゲームやメディア、エンターテインメントだけではなく、ビジネス分野でも活用が進んでいます。
例えば、社内外のイベントや展示会、プレゼンテーションや研修といったビジネスシーンで活用されています。
それだけではなく、リモートワークを導入している企業でも、メタバースを活用したバーチャルオフィスが注目されています。
バーチャルオフィスとは仮想空間にあるオフィスのことで、音声やテキストなどを使って他の社員とコミュニケーションを取ることができるサービスです。
アバターを用いて利用するため、実際にオフィスで働いているかのようにコミュニケーションが取ることができます。
リモートワークをしていると起こるコミュニケーション不足を解消してくれるとして、注目を集めているのです。
ビジネスでメタバースの活用を検討中の方はこちらの記事も参考にしてください。
まとめ
今回は、メタバースの意味やできること、将来性について解説しました。
メタバースは、オンライン上に構築された仮想空間のことです。アバターを利用して仮想空間に入ります。
その仮想空間内で自身がアバターを操作し、コミュニケーションを取ったりビジネスを行ったりすること可能です。
またメタバースの世界では、現実世界と変わらないイベントを開催したり参加したり、NFTを利用することもできます。
今後メタバースの市場はさらに伸びていくと予想されているため、ビジネス活用も含めたさまざまな場面でメタバースが使われるようになるでしょう。